これが恋愛感情なのかどうかわからなかったけえど、この宿泊合宿に来て、範囲指定ゲームをやらされてからは友香への気持ちが急速に増して行っていた。


こんな危機的状況だからこそ、正樹の気持ちに火が付いたのだ。


だけど正樹はこの宿泊合宿中も友香に話かけることはしなかった。


それ所か、極力友香の事を考えないようにしていた。


なぜなら、友香の隣にいつも心太朗がいたからだった。


友香本人が心太朗の事をどう思っているのかわからないけれど、心太朗の気持ちはバレバレだった。


いつ死ぬかわからない状況になった今、少しでも友香と一緒にいたいのだろうと、見ていてわかった。


でも……今日だけは友香との時間を俺にわけてくれ。


正樹は立ち上がり、ふらつく足で歩き出した。


友香が顔を上げ、不思議そうな表情で正樹を見上げる。


「友香、少し話がしたいんだ」


突然話しかけられて戸惑った表情を浮かべる友香。


「……うん、いいよ」


友香はそう言い、立ち上がったのだった。