「だって、亜紀さん、結局、軽い人が好きだから。
 あ、すみません」
とうっかり言ってしまい、こらこら、と典子たちに笑われる。

 亜紀は俯いたまま、怨念こもった声で低く呟く。

「わかっているのよ。
 周りの男に問題があるんじゃないのよ。

 あんたの言う通りよ。
 如何にいい男が他に居ても、どうしてもチャラい男にしか目がいかないのよ。

 その方が楽だし。
 こっちからなにも言わなくてもガンガン来てくれるしさ」

 今それ、ちょっとわかるかな、と思っていた。

 向こうから来てくれるのが楽というのは。

 小宮さんなど、そこに女の子が居れば、とりあえず、押してくるというか。

 たぶん、そこに山があるから、くらいの感じで、そこに女の子が居たら、とりあえず、声をかけている。

 イタリア人のように声をかけなきゃ失礼だ、と思っているようだ。

 こちらにあまり気がないときと、酔っているときしか積極的でない課長とは大違いだ。