大好きな万里に会えて嬉しいはずなのに、心が浮かない。


胸が苦しくて、どうにかなりそう。


お父さんのことが気になって仕方なかった。


……お父さん。


制服に着替えて1階に行くと、万里とお母さんが何やら楽しげに話していた。


「るり、おはよう」


「……おはよう」


「ごめんね、起こせなくて」


必死に笑っているけど、お母さんの目は真っ赤だった。


「あ、そうだ。今日のお昼はパンでいい?時間がなくて用意できなかったのよ」


顔を見られたくないのか、パタパタとキッチンの方に走って行くお母さん。


お父さんの姿はなく、こんな時なのに仕事に行ったみたい。


大丈夫なの……?


体、ツラくないの?


しんどくない?


お父さん。


「るり、早く出なきゃ遅刻するわよ」


「うん……わかってる。万里、行こう」


「おう」


「行ってらっしゃい、気を付けてね」


お母さんの笑顔があまりにも不自然で、ムリをしているように見えた。


そうだよね。


ツラいのはあたしだけじゃないんだ……。


お母さんもゆりも、みんなツラいんだ。


お父さんだって……。


昨日は笑ってたけど、ツラいはずだよ。