万里はあたしよりも頭ひとつ分背が高くて、眠いのかトロンとした目でこっちを見ている。
サラサラの黒髪と端正な顔立ち。
人当たりが良く気さくな性格で、誰とでもすぐに仲良くなってしまう。
そのせいか、万里はうちの両親とも大の仲良し。
万里はあたしの幼なじみであり、そして……。
「るり」
「へ……?」
「なにボーッとしてんだよ」
「し、してないよ。っていうか……ベッドの上に乗らないで」
そんなに至近距離で見られたら、恥ずかしいんですけど。
「いいだろ、付き合ってんだから」
「よくなーい……!」
そう。
万里はあたしの彼氏でもある。
中2の春から付き合っていて、この前2年を迎えたところ。
ちなみに告白はあたしから。
でもまぁ、恋人らしいことは特になにもなく、万里の部活がない日に一緒に登下校するくらい。
幼なじみの延長のような付き合いって感じ。
「下で待ってるから、早く着替えろよな」
「うん」
万里が部屋を出て行くのを確認すると、急いで制服に着替えた。