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『お父さーん!』


『おう、るり。今帰りか?』


『うん!くもんの帰りだよ!一緒に帰ろう!』


砂利ででこぼこしたあぜ道を、お父さんと並んで歩いた。


大きな影がお父さんで、小さな影があたし。


仲良く寄り添いながら、影も笑っているみたい。


『るり、前を見てみろ』


『え?前?』


なんだろう?


『わー、綺麗!』


辺りが夕陽に照らされてオレンジ色に輝いている。


目の前には沈みかけている真っ赤な真っ赤な夕陽。


綺麗すぎて思わず笑顔になると、隣でお父さんも満足そうに笑った。


『夕陽はなんでこんなに大きいの?』


『周りが田んぼで大きなビルがないからな。田舎町ほど、綺麗に見えるんだ』


『へえ!だったらるりは、ずっとここに住むー!』


『そうかそうか。そうしてくれるとお父さんも安心だ』


ガハガハと豪快に笑うお父さん。


目尻に出来るたくさんの笑い皺から、優しさが滲み出てる。


朝には真っ白だったタオルが茶色くくすんでいるのも、作業着が汗臭いのも、全部お父さんが家族のために頑張っている証拠。


『お父さんの手、大きいね。それに、ガサガサしてる』


『仕事で毎日木を触ってるからな。家を建てるには木がいるだろ?』


『うん!だからいっつも、お父さんは木の匂いがするんだね!』