譲りたくない、キミだけは。






男の人たちは、道の角を曲がって、逃げるように去って行った。



……あれ?

わたし、助け、られた……?



「君、大丈夫?」



その場に残された、わたしと綺麗な男の人。


わたしの顔色を伺うように、そう声をかけてくれた彼に、慌てて頭を下げた。



「あ、ありがとう、ござい……ま、したっ……!」



対、男の人。助けてもらったとはいえ、恐怖心がどこかである。

それでもお礼を言いたくて喉の奥から振り絞った声は、今にも消えそうに震えていた。


よ、よしっ……ちゃんとありがとうございますって言えたから、逃げよう……!