譲りたくない、キミだけは。



2人の会話についていけず、交互に見つめていると、そんなわたしを見ながらレオくんと夏目さんは笑った。



「あたし、伊川(いかわ)夏目っていうの。夏目って呼んでね、美々子」



あっ……夏目って、名前だったんだ……。

美々子、と呼び捨てに呼ばれたのがくすぐったくて、ちょっぴり恥ずかしい。

親戚以外に、名前で呼ばれたのは初めてかもしれない。

嬉しい、なぁ……




「そうだレオ、今日ゲームの発売日だから買いに行くのついて来て。あと、帰りにケーキ食いに行こ」

「はいはい……」

「あ、よかったら美々子も行かない?ケーキ好き?」



……え?

わたしも、行ってもいいの……?