譲りたくない、キミだけは。





「大丈夫だよ。俺ら怖くないからねー、超優しーよー」



下品な笑い方をする彼らのどこに、優しさを感じればいいんだろう。

下唇を噛みしめることしか出来なくて、途方に暮れている時だった。





「ーーーーなにしてんの?」



男の人たちの背後から、聞こえた声。

それはどこか、心地よさを感じるような低音の、ハスキーめいた声。


3人は一斉に振り返り、そしてわたしも声の聞こえた方へ視線を向けた。



ーーーうわぁっ……綺麗な、人。



思わずそう思ってしまうほど、美しい人がそこに立っていた。