譲りたくない、キミだけは。




「スポーツテスト……苦手、で」

「あー、運動苦手なの?」



こくり。少し恥ずかしくて控えめに頷くと、レオくんは口元を緩めた。



「でも確かに、そんな感じするなぁ」

「……ぅ」



ひ、否定出来ない……わたし、鈍臭いもの……。

レオくんは、スポーツなにかしてるのかな……?


バスケットボールとか、得意そうなイメージ……

レオくんを見つめながらそんなことを考えていると、突然、レオくんの頭に鞄が飛んできた。


え?


痛そうに頭を抑えるレオくん。

今、一体なにが……!



「レオ。今日ウチくるって言ってたでしょ?」



どうやら、この人が鞄をぶつけた張本人らしい。