譲りたくない、キミだけは。



掴まれた腕。わたしを導いてくれる、大きな背中。

ふわふわと揺れるレオくんの髪。


その髪に、触ってみたいと、なぜかそんなことを思った。




* * *



わたし……何度助けられたら気がすむんだろう……はぁ……

レオくんには、頭が上がらない……。



今日も1日、迷惑をかけてばっかりだった。



無事に始業式を終え、教室に戻り今日は解散となった。

明日から、早速授業が始まる。


わたしが苦手なスポーツテストもある……ああ、ちょっと憂鬱。



「どうしたのみーこちゃん、暗い顔して」



頬に手をつきながらこちらを見ているレオくんに気づいて、わたしも視線を向ける。