譲りたくない、キミだけは。



人混みの中、ドンっと男子生徒とぶつかってしまった。

体格差のせいで、ぶつかった反動が大きく転びそうになる。

後一歩のところで踏みとどまって、ギリギリ倒れずにすんだ。


よ、よかった……っ。



「あのっ……ご、ごめん、なさいっ……!」



ぶつかった人に謝って、逃げるように人混みを掻き分けて進んだ。


……あっ、あれ?


ふと辺りを見渡すと、先ほどまでいたクラスメイトたちがいない。

どうやら1人だけ別のクラスに混じってしまったらしく、溜息を吐いた。


ま、また迷子……わたしのバカ……。


必死にクラスメイトの姿を探そうと周りを見るも、背が低いためなかなか辺りが見えない。