譲りたくない、キミだけは。




レオくんは、わたしの服の袖をちょこっと掴んで、教室から出た。


廊下を挟んで向かいにある教室に連れてこられ、ここはどうやら移動の時に使う予備の教室にらしい。


誰もいない教室。椅子に座るように指を指され、大人しく座った。



「大丈夫?顔真っ青だけど……」



わたしと同じ視線に屈んで、顔色を伺うように至近距離で見つめられる。


う、美しすぎて、直視出来ないっ……。


レオくんの綺麗な顔がすぐ目の前にあって、思わず視線を逸らした。



「あ、ありがとう、ございますっ……」



心配してくれたことが、嬉しい。



「お礼なんていいって。それよりなんか震えてるし……そんなにあいつら怖かった?」