譲りたくない、キミだけは。




クラスメイトの……男の子、だろうか。


わたしのことを、じっと見ながら、なぜかニヤニヤと口元を緩めている彼。

その姿が怖くて、もともと男の子が怖いのも相まり、体が強張ってしまう。


だ、誰っ……?

な、なにか、用事、かな……?



「俺、加藤っていうんだ。今日から同じクラスだし、よろしくね?」

「ぇ、ぁっ……あの……」

「あのさ、連絡先交換しない?俺小森さんと仲良くなりたいんだけど」



ど、どうしよう……やっぱり、怖い……っ。


さっきまで、同じ男の子であるレオくんには感じなかった恐怖がふつふつとこみ上げてくる。



「お前一人だけ抜け駆けとかずりーぞ」

「俺も俺も!ね、交換しよ」