譲りたくない、キミだけは。




あっ……。



「夏目(なつめ)?……なに?」



どうやら、レオくんのお友達だったらしい。


レオくんを呼んだのは、キレイなショートヘアの女の子で、レオくんは席から立ち上がって女の子のところへ行ってしまった。


……また、お礼言いそびれちゃった……。


がっくり、と肩を落とし、カバンを手に持つ。

せっかくお話してるのに邪魔するのは失礼だし、お礼は今度、きちんと言おう……。


今日のところは帰ろうと思い、教室を出るため席を立った時だった。




「ねぇ、小森さん……だよね?」

「……ぇ」



わたしの前に立ちふさがるように、一人の男の子が声をかけてきた。