譲りたくない、キミだけは。



教科書等の配布、高校生活についての簡単な説明を受け、今日は解散となった。


はぁ……お、終わった……。


ようやく家に帰れることに、ホッと胸を撫で下ろす。


今日は、レオくんのおかげでなんとか乗り切れたなぁ……お、お礼、言いたい……。


話しかけても大丈夫かな……?



ちらりと横目で、隣の席のレオくんを盗み見た。


眠たいのか、大きな欠伸をひとつして、目頭をぎゅっと抑えている。

そんな姿すらサマになって、かっこいい……と思わずにはいられなかった。



……って、ち、違うっ!

お、お礼……言わなきゃ……っ、



「レオ!ちょっと来て!」



レオくん、と、わたしが声をかけるよりも先に、教室の奥から飛んできた声。