「えー、何それ、燃えるんだけどー」
ほ、本命?燃える?
「中学の時なんて、クラスの女の子全員フったって伝説になってるよ」
「あそこまで綺麗だと、理想高そうだよねー」
「簡単にデートしてくれるって言っても、高嶺の花すぎて近寄りがたそう……」
女の子たちの言っている意味がよくわからなかったけれど、凰牙さんが凄い人ってことだけはよくわかった。
わたしとはきっと、住む世界が違う人。
* * *
なんだか、進学校のはずなのに、大人しそうな人が少ないっ……。
騒がしい教室を前に、足が止まった。
みんな席につかずに立ち上がり、楽しそうに騒いでいる。