「えー……なんとなく楽しそうだったのでこの高校を選びました。友達いっぱいできるといいなと思います。以上」
……あ、あれ?
なんだか、思ってたのと違うような……
で、でも、もしかしたらこれが今時のスピーチなのかもしれないっ……!
いろんなところから、少しずつ挙がる拍手の音。
わたしも、頭をさげる凰牙さんを見つめながら、パチパチと手を合わせた。
ステージを降りる彼を、見えなくなるまで見つめていた時、直前で凰牙さんがこちらを向いた。
バチリと、視線がぶつかる。
もしかしたら、気のせいかもしれない。
凰牙さんが、ふわりと柔らかく、笑ってくれた気がしたんだ。
……っ、気のせい、だよね……?
きっと、わたしの近くに友達が居たとかで、目が合ったように感じただけで……
そう言い聞かせながら、なんだか熱くてたまらない頬を、両手でそっと覆った。