クラス表が貼られてある掲示板の前で、自分の名前を探す。



「そういえば君、名前は?」



あっ……名前、言ってなかった……。



「こ、ここ、小森(こもり)……み、美々子(みみこ)、です……」



わたしのバカっ……

名前くらい、どうしてちゃんと言えないのっ……。

男の子にからかわれていたのも、いつもこんな風にオドオドしているせいだった。


きっと、彼にも変な奴って思われちゃっただろうなっ……



「美々子ちゃん……ね。良い名前だね」



そう思ったのに、彼は何も気にしていない様子で、さらりとお世辞まで口にした。


……っ、い、良い人……初めて男の子にバカにされなかった……。