譲りたくない、キミだけは。




とりあえず男の人と二人という状況に耐えられず、「そ、それではっ……!」と伝えて彼に背を向ける。



「おーい、どこ行くの」



小走りに逃げるわたしの背中に、不思議そうな彼の言葉が投げられた。


……え?



「光明高校でしょ?その制服。1年生?」



え、ええっと……

とりあえず、振り返って一度だけ頷いた。



「ん、じゃあ行こっか」



そして、わたしの逃げようとした方向とは逆に歩き出した彼。


……もしかして、一緒に行ってくれようと、してるのかな……?

わたし、学校と真逆の方向に進んでたの……っ?



「おーい、早くしないと入学式間に合わないよー」