サイレント ヴィレッジ

「行こう」

穂乃香がようやく泣き止んだので、私は彼女に手を差し伸べて立ち上がらせる。

開けた場所に出て分かったが、目の前には民家とは呼べない程に大きな屋敷が建っていた。

これが峰ヶ崎邸……。

「琉衣、ありがとう」

穂乃香は鼻を啜りながら言った。

やっと落ち着いたらしい。

よく今まで無事でいられたと、我ながら自分の運の良さに感心する。

不思議な事に、かなり焦って逃げていたのに、何故か手帳だけはしっかりと持っていた。

私は、穂乃香を守るように握る手に力を籠める。

またさっきみたいな酷い目に遭わなければいいのだが。

「何かさぁ、さっきから時間経ってる気がしないんだけど……」

穂乃香がそう言って、自分の腕にある時計を見た。

その顔からは疲労が窺える。