サイレント ヴィレッジ

「――痛っ」

不意に穂乃香の体が傾き、私に体当たりするようにして倒れ込んだ。

「大丈夫っ?」

抱き起こそうとする私の目には、彼女の足にまとわりつく青白い手が見えた。

地面から生えたそれを見て、穂乃香が悲鳴をあげる。

「やだっ! 琉衣取って! 取ってぇっ!」

慌てて引き剥がそうとするも、予想以上に力が強く、白い手は穂乃香の足首に食い込んで離れない。

「琉衣早くっ! 助けてぇっ!」

パニックを起こした穂乃香は狂ったように暴れまわった。

焦りと不安の中、穂乃香のかん高い悲鳴だけが雑木林に響く。

ハッとして後ろを振り返ってみるが誰もいない。

早くしなければ、いつあの女がやってくるとも限らないのだから。