サイレント ヴィレッジ

「何もないじゃん」

隣から覗いていた穂乃香が、残念そうに言う。

私は諦めずに、他の箇所も見ていった。

「……あっ、これ見て」

一箇所だけ、ページが破り取られているところがあった。

もしや、と思い私は持っていた地図をそこに乗せてみる。

地図と手帳の破られた部分は、ぴったりと一致した。

「この手帳の紙だったんだ……」

紙と紙が触れた途端、破れたところはスーッと魔法のように消えた。

後に残ったのは、紙の切れ端と手帳ではなく、一冊の手帳だった。

「気持ち悪い。ねぇ琉衣、捨てなよそれ」

「でも、ないと迷子になるよ。また変なのに追いかけられても困るし、穂乃香に会えたのもある意味地図のお陰だし……」

口ごもる私に穂乃香はため息を吐いた。