サイレント ヴィレッジ

仕方がない。

外に出てから改めて見直す事にして写真をポケットにしまうと、再びカゴに手をかけた。

服を退けようとしたその時、ガタンッと何かが落ちたような音が響く。

突然の事に、私はびくりと体を震わせた。

音の響き方からいって、浴槽のある場所のような気がする。

恐る恐る視線を磨りガラスに向けると、ゆっくりと扉に近付いた。

「あの、すみません」

声を掛けても返事はない。

物音は、気のせいにするには大きすぎる。

動物でも入り込んだのだろうか。

女湯側のトイレの一件もあり、何だかノブに手をかけるのが躊躇われた。

どうしたものかと思案する私の耳に、ひたひたという音が届く。

「……?」

まるでタイル張りの床を裸足で歩いているような、そんな音だ。

明らかに動物のものではない。