サイレント ヴィレッジ

扉の隙間から錆びた鉄の臭いが溢れ出る。

見なければよかった。

トイレの壁は赤茶色の何かで汚ならしく汚れている。

誰かが中でのたうち回ったような汚れようだ。

「……うぷっ」

酷い悪臭に吐き気が込み上げてきて、慌てて口元を抑える。

トイレの便器から気味の悪い肉塊が溢れていた。

悪臭の元を辿ると、肉塊から発せられている事が判る。

あろうことか私は塊の中に目玉を見つけてしまった。

見ていてあまり気分の良いものではない。

私は気持ち悪い肉塊から目を背け、トイレの扉を閉めた。

ここに居ても気分が悪くなる。

女湯へはどうやっても行けそうにはなかったので、私は脱衣所を出て隣の男湯へと向かった。