サイレント ヴィレッジ

「何か記事に村とか書いてあるけど、新聞社の名前とかは無いの。それと、ここに来るまでに……」

私は目を覚ましてから今までにあった事を享也に伝えた。

『分かった、探してみる。お前はどっか隠れてろ』

「分かった」

私がそう言うと、電話はぶちりと嫌な音を立てて切れた。

「嘘っ、まだ話終わってないのにっ」

もう一度ダイヤルを回すも、電話は置物になったかのように沈黙を続ける。

電話を持ち上げると、千切れたコードが垂れ下がった。

「そんな……いつから?」

ねずみにかじられたとかではなく、引き千切られたようなコードを見て私は番台の下を確認する。

しかし、そこには当然ながら何も無かった。

無いものは仕方がない。

幸い享也に助けを求める事ができたし、ここから出られるのも時間の問題だろう。

そう思った私は、靴箱を使っている人を探す事にした。