サイレント ヴィレッジ

受話器を取って番号を回す。

こんな所にある電話が果たして通じるのだろうか。

藁にもすがる思いで私は享也の携帯に電話をかけた。


――プルルルルル


掛かった!

驚いたことに、電話は使う事ができた。

あとは享也が電話に出てくれれば……

『琉衣かっ!?』

享也はすぐに電話を取ってくれた。

久しぶりに聞く享也の声に、心の底から安心する。

「享也っ? 私!」

『無事なのか? 突然消えやがって。今どこに居る?』

享也の言葉で確信した。

ここは夢じゃない。

「分かんない……銭湯の電話使ってるんだけど、誰も居ないの」

『何か分かりそうなものはねぇのか?』

「変な新聞記事を拾ったくらいで……」

私は拾った記事を読み上げた。