後ろから女が追いかけてくる。

先ほどまで足を引きずりゆっくりと歩いていたとは思えない程に、しっかりとした足取りで。

それでも私の方が速かった。

女は足を引きずっているのだから当然だ。

二人の距離は徐々に開いていく。

出口までの距離が、目で見るよりも長く感じられた。

捕まったら命はない。

そう思わせるくらいに女の瞳は狂気に輝いていた。

「まあぁてぇぇええ!!」

地の底から響くような叫び声が聞こえる。

すぐ後ろから聞こえてくるようなその声に振り返ると、女は遠くで止まって私を睨んでいる。

よく分からないが、今が引き離すチャンスだと思い、私は必死に走った。

公園を飛び出し、兎に角あの女から離れようとがむしゃらに駆け抜ける。

途中民家が何件かあったが、人の気配は全くしない。

できれば、誰かにここが何処なのか尋ねたかった。