何も言わない私に諦めたのか、女の手がすっと離れた。

と同時にいきなり目の前に女の顔が現れる。

「――ひっ」

突然の事に、思わず声が漏れてしまう。

目が合ったのだ。

女は私のことを血走った目でギロリと睨み付け、真っ赤な唇を歪めてニタリと笑った。

「や っ と 見 つ け た」

女はそう言って私の両肩を掴む。

まるで探していた人を見つけたとでも言いたげに。

訳が分からなかった。

「いっ、嫌ッ!!!」

もう黙ってなんていられない。

女はぎりぎりと肩を掴む手に力を込める。

凄い力だ。

私は肩を掴む女の手をなんとか力尽くで振りほどき、公園の出口に向かって走った。