サイレント ヴィレッジ

「ねぇ、あなた」

突然後ろから伸びてきた手が、私の肩を掴んだ。

ひやりとした感触が肩から伝わり、体からぶわっと汗が噴き出す。

帰ってきた?

急に重苦しくなった空気に、そう考える。

「ねぇ」

間違いなく、さっきの女の声だった。

振り返ってはいけない。

聞いてはいけない。

見てはいけない。

返事をしてはいけない。

昔享也が言っていたのだ。

幽霊は自分の存在に気付いた人間に取り憑くんだって。

認識してしまうと、連れていかれるんだって。

それで、こういう時はどうしたら良いんだっけ?

「ねぇ」

女は再び声をかけてくる。

早く、早く思い出さなきゃ。

私は焦った。

女に肩を捕まれている恐怖のせいか、中々思い出せない。