耳障りな金切り音を立てて扉が開く。

早く外へ出ようとほんの少しの力で押しただけなのに、扉はまるで何百年も野ざらしにされていたかのように朽ち果てる。

ガラスが崩れたような音を響かせ、扉は役目を逐えたかのように砕け散った。

何はともあれ、やっとあの異様な空間から脱出できたのだ。

ここがどこなのかはさっぱり分からないが、外に出れた安心感からふぅと一息吐いた。

「……助かった…のかな?」

振り返り、ぽっかりと開いた入り口に目を向ける。

扉のあった痕跡はなく、まるで最初からそこに入り口が開いていたかのようだ。

赤く染まった壁は、ここから見るとますます気味が悪い。

視線を床に落として、ぞくりと背筋が凍った。

人形の顔がこちらを向いていたのだ。

あり得ない。

あの人形の頭は確かに床に転がってはいたが、上を向いていたはずだ。