サイレント ヴィレッジ

このままではいけない。

そう思い壁から視線を逸らすと、それが視界に入らないように下を向いた。

しかし、足元にあるモノを見てぎょっとする。

――赤い汚れのついた、人の手がそこにあったのだ。

逃げるように一歩下がり手を凝視すると、よくできてはいるが本物ではないようだ。

更に他の場所に注意を向けてみると、バラバラになった人形の首がこちらを見ていた。

さっき感じた視線の正体はこの人形なのだろうか。

バラバラなのは人形だけのようで、まるで荒らされた後のように散らばったぬいぐるみの数々がその周りを囲んでいる。

子ども部屋だったのだろう。

可愛らしいぬいぐるみ達は、見る影もなく泥のようなもので汚れていた。

暫くその光景に立ちすくんでいると、吐き気が込み上げてきて耳鳴りが一層酷くなる。

ガタンッという物音がして、私は恐怖感から出口の向こうへと弾かれたように駆け出した。