サイレント ヴィレッジ

ずんずんと進む享也に、ついていくのに精一杯な私は何も言えなかった。

周りの視線を気にする事なく凄い勢いで前を歩く享也はいつもと違って様子が変だ。

車の前に着くと、無理矢理助手席に押し込められた。

「早く帰るぞ」

どこか焦っているようにも見受けられるその態度に首を傾げる。

何だかおかしい。

運転する享也の横顔は真剣そのもので、抗議できるような空気ではなく大人しく口を紡ぐんだ。

窓の外を見ると、享也の家の側まで来ている。

真っ直ぐ家に帰るのは珍しい事だ。

いつもとはあまりにも違う行動に、ただならぬ気配を感じる。

「享、也……」

「何だ?」

いつも通りの素っ気ない返事が返ってきた。

だけど、享也の視線は真っ直ぐに前を見据えている。

まるで一刻も早く家に入りたいとでも言わんばかりに。

これは何かあるに違いない。

気がつかない訳がなかった。

さすがに私もそこまで馬鹿ではない。