この状況に、私だけが取り残されていた。
理解できない。頭が付いていかない。
「織、大変だと思うけど、あなたならやれるわ。それに、樹たちがあなたをフォローしてくれるから、心配しなくても大丈夫」
混乱しすぎて、ママの言葉も耳に入らない。
「織様と旅館のことは、私どもにお任せください」
「どうぞ安心して、アメリカへお発ちください」
樹に続いて、葵もそう付け加えた。
(あれ…？なんか私が理解に苦しんでる間に話がまとまってる…？)
「君たちがそう言ってくれるなら安心だね。じゃあママ、そろそろ行こうか。飛行機の時間があるからね」
と、パパが立ち上がる。
