「今回パパが帰ってきたのは、ママをアメリカに連れて行くためなんだ」
衝撃の言葉が返ってきた。
(え…?ママをアメリカに連れて行く…?)
「じゃあこの旅館はどうなるの!?」
女将がいない旅館なんてありえない。
「それはね、織に任せることにしたから大丈夫よ」
そう言って、ママがにっこりと微笑んだ。
(はい?今なんとおっしゃいました…?)
「何それ!私に任せるってどういうこと!?」
「何もママがやってきたことを全部織にやってもらおうっていうわけではないのよ。経営に関わる部分は、支配人の樹に頼んであるから」
「樹なら従業員からの信頼も厚いし、安心して任せられるからね」
パパも笑顔でそんなことを口にした。
