「さて織、今パパがアメリカを拠点に新規事業を展開しているのは知っているね?」
「うん。でも日本に戻ってきたってことは向こうはどうなってるの?」
パパは日本での旅館経営の他に、海外にも日本文化を広めるべく、アメリカで和装を施したホテルを展開したり、華道や茶道、日本舞踊の教室の運営も行っている。
「アメリカの事務所の方は部下に任せてきてある。しかし…」
ここでパパはちらっとママに目を向ける。
「あのね、織。アメリカでの事業が軌道に乗ってきたのはいい事なんだけど、向こうの人材が足りなくなってしまったの」
ママがこう続けた。
「そうなんだ…。それじゃ尚更パパが帰って来ちゃって大丈夫だったの?」
率直な疑問をぶつけると……
