ふと見上げると、私と彼の間に割って入るように立っていたのは、 「樹っ!?」 今は旅館で仕事をしているはずの、樹だった。 「なんで樹が学校に……」 「あなたが古文の教科書を忘れていったからでしょう。わざわざ届けに来てみれば、」 ここで樹はちらっと男子生徒へ目を向けた。 「おや、まだいたんですか」 そう言って、にっこりと男子生徒に笑顔を向けた。 (…樹っ、目が笑ってないよ…) 「す、すみませんでしたっ!」 冷ややかな笑顔を向けられた男子生徒は、逃げるように屋上を立ち去った。