さっき、アキが運び込んでくれたユースは、実は、私の今晩の宿泊先だった。
アキも、今晩もう一泊するのだと言っていた。
夕方近くになり、駅まで戻って荷物をロッカーから出すと、その足で一度ユースに戻った。
自分で持つと言うのに、アキは「また倒れられたら困る」と言って、私の荷物を取り上げた。
私は、こういうのに慣れてない。
素直に甘える術を知らないから。
そんな私の様子を見かねたアキは「レイは一人で生きてるわけじゃないんだ」っ言ってた。
呆れるわけでもなく、投げやりなわけでもなく、アキの言葉はいつも真剣そのもの。
なぜだか分らないけど、アキの言葉を聞くたびに、今まで抱えてき胸のつかえがとれていくような気がした。
今まで生きることが、それ自体が苦しかったのに、アキと一緒にいると、そんなことも忘れてしまうほど、心が軽くなるのを感じていたんだ。


