「アキの目に映った私は、ちゃんと、生きてるように見えた?」


突然の問いかけに、アキは視線をこちらへ戻した。

そして視線が重なる。



「レイは生きてるよ」



彼の静かな、そのたった一言が、私の心の奥深くにまで突き刺さったんだ。



レイは生きてるよ―――



私はすがるような気持ちで、アキに問いかけていた。





「私、さっきアキに助けてもらった時ね、『怖い』って思ったんだ。アキがじゃないよ、死ぬのが……怖いと思ったの」


こんな話なのに、アキは真剣な表情でただ静かに聞いていてくれる。

目を見ると「それで」と言ってくれているようだった。

私は一つ息を吸い込むと、続きを吐き出した。


「今まで、死ぬのなんて怖いと思ったことなかった。どうせいつかはみんな死んじゃうんだし、今の私なんて、生きてても死んでも一緒だって思ってた。誰も悲しむ人さえいないんだって思ったら、もう死んじゃってもいいかなって。今までだって誰のために生きてきたかわからなし、これからだって夢もなければ、どうやって生きていったらいいかさえ分らなくかった。でもね」


不思議だ、アキの温かく深い黄褐色の瞳を見ていると、まるで私の心の周りにあった黒くて厚い壁が溶けていくように、素直に言葉が溢れ出てくる。