「ねぇ、なんで、さっき、私のこと、助けてくれたの?」



チラッと横目でアキの表情を伺ったけど、視線は通りに投げたままで、そこからアキの心の中は読み取れなかった。

けど……



「駅から出てくるレイの姿を見た時、目が離せなかった」

「え?」

「『何がそんなに面白いんだろ?』ってくらい、目をキラキラさせてさ。ただの建物も、店先のショーウィンドウも、変わったものなんて何一つないのに、レイが見てるものはすごく眩しそうで、不思議に思った。で、少しつけたら、ヤバイのに目を付けられてた」

「私……そんな顔してないよ」



なんだか照れ臭くて、少し拗ねたようになってしまう。

アキの方を見ると、彼は、その様子を思い出して少し微笑んでいるようだ。



でも、そんなこと言われたのは生まれて初めてで、戸惑った。

いつも「冷めてる」だとか「無関心」だとか言われ続けてたし、否定するつもりもなかった。

でも、彼の目に映った私は、今までとは、まるで別人だったんだ。