「ねぇ、アキ、こっち博物館も見てみたい!」
「あぁ」
あれから、一時間ほどグッスリ眠った私は、すっかり回復、気分も晴れやかに起き上がった。
目が覚めると、彼は、パイプ椅子に座ったまま、本を読んでいた。
彼が読んでたのは英語の本で、何を読んでるのかまでは、分らなかったんだけど。
「すごいね、英語の本なんて読めるんだ!」
そう言うと、彼は事も無げに「今はイギリスに住んでるから」って言ってた。
「ふーん」と答えたものの、私にしてみれば、すごいことだ。
「イギリス在住で、日本語話せるみたいだけど……日本人よね?」
私は、ベッドから起き上がりながら聞いてみた。
「俺は松本秋成(まつもとあきなり)、正真正銘日本人だよ」
彼はそう言って、少し笑った。
「じゃあ、その目はカラコン?」
「いいや、これは元々」
「そうなんだ。すごく綺麗な色だよね、まるでパワーストーンのタイガーアイみたい……」
そう言って、ジーっと見とれていると、彼は「そんなに見るな」と顔を背けた。
気付けば、私は体を乗り出して、彼の瞳に吸い寄せられるように、見つめていたのだ。
彼との距離が、すごく近くなっている。
我に返って、思わず赤くなってしまった。


