「アキ兄が生きてる時から、僕が変わりに何度かメールを打ったことがあるんだ。レイたちのことはあの夏から何度となく聞かされてたし、写真も見てたから。自分でパソコンを使えなくなったアキ兄の代わりに、アキ兄の言葉を僕が打ち込んでた」


私と同様に、リリィもジュンも、ハルの言葉をただ静かに聞いているのみだった。


「でも、レイ、聞いて欲しい。アキ兄が死んでからもメールを続けたのは、何もアキ兄に頼まれたからじゃないんだ」


そこまで言うと、ハルは初めて私から目を逸らした。

一瞬だけど、少し躊躇ったのがわかった。

次の言葉を発することを……

そして意を決したように、もう一度顔をあげて、私の瞳をとらえた。


「僕自身が、レイを応援したくなったんだ」

「え?」


どういうこと……


「アキ兄が死んだことは、どうしても伝えることができなかった。でも、それでも、僕はレイを励まし続けたかったんだ」


リリィとジュンを見るけど、二人はきっと前から知っていたのだろう、私に向かって優しく頷くだけだった。