ジュンとアキと三人で、ミラノ、モナコ、ニースと旅してきた。



ここは地中海沿岸の他の都市に比べると華やかな印象は少ないけど、旅情を誘う雰囲気が、なぜか私たち三人に合っているなと思ったんだ。

リリィのいなくなった旅は、何かぽっかり穴でも空いたように寂しかった。

彼女の笑顔が、笑い声が、どれだけ私たちを元気にしててくれたかが、身にしみてわかったんだ。



それにとうとう今日はジュンともお別れだ。

パリのシャルル・ド・ゴール空港から関空へ帰国するため、夕方にはここマルセイユからパリへ向かう高速列車に乗ることになっていた。



今朝早く、突き抜けるような青空とともに、マルセイユ・サン・シャルル駅へと列車は滑り込んだ。

小高い丘の上に立つそこからの眺めは、高層ビルなどはなく、とても素朴な印象だった。


「まだ、朝市やってる時間やわ。俺腹減ってん。はよ行こうや」


しばし市街の眺めに浸っていたアキと私は、ジュンの元気な声で我に返った。

ジュンの旅の最後の日は、プロバンスの太陽が良く似合う美しい青空が広がっていたんだ。