あぁ、やっぱりリリィの笑顔は眩しいな、って思ったんだ。

凛として、強くて、何もかも包み込んでしまうように温かい

まるで太陽みたいな女性

私もいつかリリィみたいになりたい。

心の底からそう思うんだ。


「鬼の目にも涙やな」

「泣いてなんかないわよ、馬鹿!あんたこそ、何泣いてんのよ」

「アホか、これは涙とちゃうわ。汗やっちゅうねん!」

「なんで目から汗かくのよ、ほんと馬鹿じゃないの」

「あぁ、あぁ、馬鹿で結構。ほれ、はよ行かんと乗り遅れるで」


本当は誰よりリリィと別れるのが辛いはずのジュンが、リリィをホームへと促した。



「それじゃ、みんな元気でね。約束、忘れないでよ」



リリィは太陽よりも眩しい笑顔とともに、空港行きの列車のホームへと去っていった。

私たちはその姿が見えなくなるまで、手を振り続けた。







今までが嘘のような静寂に包まれる。

かと思ったのに……

三人の沈黙の中に突然響きだしたのは、ジュンの大きな鳴き声だったんだ。

アキがジュンに肩を貸しながら、ミラノ行きのホームへ歩いて行くけど、その泣き声は当分止むことはなかったんだ。