「……うん。アキは?」

「俺はもう投げたよ」


え?


「ほら、あの二人が騒いでるうちに、レイも行ってこいよ」


そういってアキが微笑んだので、私は急いで泉の側にかけよったんだ。

アキはいったい、何枚のコインを投げたのだろう?

チラっとアキの方に目をやったが、彼はわざと私の方を見ないようにしてくれてるようだ。

リリィやジュンの目隠しになるように、立ってくれてるようにも見える。







泉に背を向け、小さく一つ深呼吸した。

そして、静かに後ろ向きにコインを放ったんだ。




一枚目は……

“もう一度、ローマに来られますように”








そして二枚目は……



“アキと……いつまでも一緒にいられますように……”