ジュンはそう言って笑ってたけど、ちゃんと分ってるはずだ。

リリィは、人の夢を馬鹿にしたりしないって。

人一倍、真っ直ぐな彼女だもの。



そして、そんなリリィにジュンが惹かれてるのも、私は確信してたんだ。

迷いが消えたのも、きっとリリィに出会ったから……





私はもう一度、眼下に広がるどこまでも続く町並みに、目を移した。

ここから見える、ベルリンの未完成なまちは、まるで私たちみたいだ。



まだ夢の途中―――



十年後再びここに立ったら、私たちは、いったいどんな景色を臨むことができるのだろうか?

この街が秘める可能性が、そのまま自分たちの未来に重なればいいのに……



そう、思ったんだ。