四人だと、列車に乗ってる時間も、あっと言う間だ。

一時間も揺られていたなんて、信じられないほど。



ジュンは、面白い動きの車掌さんを真似ては、私たちを笑わせてくれる。

リリィは、そんなジュンに鋭い突っ込みを入れてて、まるで夫婦漫才のようだった。

アキは車窓の風景を眺めながら、昔住んでたことを思い出すように、ドイツのあれこれを教えてくれた。



早朝で乗客の少なかった私たちの車両の中で、四人掛けの席から、笑いが絶えることはなかった。

一人の時は電車に乗ると眠ったり、ガイドブックと睨めっこしたり、車窓の流れる景色をひたすらに眺めたり。

それほど楽しい時間では、なかったのにな。

四人で過ごす車中は、とにかく楽しくて、このままずっと列車に乗っていたくなってしまう気さえしたんだ。