「アキ……だよね」 え―――? もしかして…… いや、もしかしなくても、そうだ。 一瞬、時が止まったような気がした。 自分の心臓の鼓動だけが、やけにリアルに、耳に聞こえる。 全ての音が遮断され、さっきの言葉を、頭の中で反芻した。 この十年、待ちわびた瞬間が、とうとうやってきたのだ。 私は、高鳴る胸を押さえながら、ゆっくりと振り返った―――