俺は…神木 大翔。


よくチャラそうって言われる。

別にいい。

俺は家族が色々あって、親父が好きじゃない。

嫌いだ…。俺にとっては他人だ。

母親は反抗期だと思っている。

どう接していいかわからない。

甘える歳でもないし、子供だけど子供じゃない今はかなり複雑だ…。


俺と悠李は長い付き合い。

保育園から一緒。

ケンカもしたし、悪い事も一緒にした…親友であり悪友でもある。

耳にピアスをしたきっかけはおしゃれ。

俺は高校に入ってから彼女ができた。

さくら…。

話してて楽しいし、さっぱりした性格だった。

だけど女友達と話すなとか、バイトない日は友達とも遊べない…。

俺はそういうの無理だ。

友達とも遊びたいし、全ての時間をさくらには使えない。

だから1年くらいで別れた。


後悔しない主義。


それが俺…。

辛くても口にしないのも俺。

悠李には嘘つけない。バレるから。

唯一の弱点だ。


突然悠李からの誘い…女の子に会う…しかも結構訳あり。

失恋した者同士仲良く出来ればいい。


だけど…会ったその子は触ると壊れてしまいそうなくらい純粋そうだった…。

髪型も顔も背も細さも…想像と全く違った。

俺を見た瞬間、目をそらした。

絶対、警戒したよね?今…。

だけど「佐藤 あかねです」って笑った。

俺を見て。

その顔は本当に寂しげで、今にも泣きそうな自分を必死で隠しているように見えた。


迷惑承知で電話とメールを送った。


ほっとけない…。


いや…近づきたかった。


彼氏を忘れられないのは知ってる。


映画に誘った。見たい映画も一緒。


意外に気が合う。

何となく考えてる事わかってしまうんだよな…。

素直だから。


映画を見た後、マフラーを買おうか迷ってた。

持ち金がたりないらしい。

貸すよ?でもいいらしい。

名残惜しそうだ。


かわいいなぁ…。俺、好みだ。この子。

無邪気で…。

だけど聞いてしまった…彼氏、どんな人だったか。


聞いて後悔した。

まだ俺が入るスペースはない。


しばらくして音信不通になった。

何があったのか。

ケータイの電源が落ちてるし、クリスマスの約束もなしになった…。

悠李に訳を聞いた。


今はそっとしておこう…。

せっかくのクリスマス。

何もないのは寂しい。

俺はあかねちゃんが名残惜しそうにしてたマフラーを買ってポストに届けた。

差出人は書かず。

サンタクロース気取りだな。

俺らしくない…。

マフラーを送った相手は知らなくていい。

俺は言うつもりもない。

家の場所は悠李とりこに付き合ってもらった。

この二人とクリスマスを一緒とかありえない。

確実に俺は邪魔だ。

最終のバスに乗り遅れたし、親に迎えにきてもらった。

来たのは親父。寝た振り。

バイトもあったし…疲れたし。

でも親父に感謝だ。「ありがとう」が言えない。


俺はガキみたいだ。