「尚くん、前から聞きたかったんだけど」

「ん?」

「彼女さんに、怒られない?」


部屋にわたしの写真、こんなにあって。

わたしは小さい頃から徐々に増えていく様子を見たせいか

あんまりなんとも思わないけれども。

ビックリするよね……?

こんなの、普通は。


「彼女って、なんのこと?」


……隠したって、無駄だよ。

わたし……見たもん。

この前、家の前で、尚くんが同じ高校の制服を着た女の子と

……キス、してるとこ。


「尚くんのお母さんにも、ビックリされないの?」

「普段は部屋に鍵をかけているからね。掃除も自分でしてる。知らないんじゃない?」

「そっか……」


カチッ


「繋がったね」


尚くんの右手と、わたしの左手が、手錠で繋がった。

ずしっと、左手が重くなる。

ひんやりと、冷たい金属の感触。


あ、わかった。

今日は……10月31日。


「そっか、尚くん、ハロウィンだから?」


そんなわたしの問いかけに、優しく笑い返してくれる尚くん。


「木葉……僕と付き合う?」

(えっ?)

「彼女になりたい?」

「なっ……、なりたい!!」


なんで!?

これまで、ずっと。

何度、好きアピールをしても、『はいはい』で、終わりだったのに。

あくまで妹みたいにしか思ってもらえてないと……

そう、思っていたのに。