「「あっ!!」」


「すみません!」



バサバサっと相手が持っていた荷物が散らばる

急いでいた俺は見えてなくて人とぶつかってしまった


慌てて拾おうとした俺を小さな手が制する



「急いでるのでしょう?早く行ってください」

「―――っっ、いや、大丈夫――」

「営業の方でしょう?お客様待たせるのはだめです」


そう言って俺の背中を押してきた

俺は彼女の言うとおりにお礼と謝罪を述べてその場を去った



後ろを振り向けば小さな体が散らばった書類を集めていて


そこに知らない男が駆け寄り声を掛けていた




チクリ

ほんの少し胸が軋んだ


社会人一年生
その胸の痛みの正体を知るのはほんの少し先の話